猫
猫との暮らしで欠かせないことのひとつが“猫のブラッシング”です。絡まる猫の毛の流れをスムーズにすることだけが目的と思われているかもしれませんが、ブラッシングは飼い主と猫との大切なスキンシップにもなるのです。日頃のケアのひとつとして、何気なく流れ作業的に対応している方もいるかもしれませんが、ブラッシングを侮ってはいけません。そこで、今回はブラッシングの大切さについて改めて説明していきたいと思います!
猫にブラッシングをする理由
猫はもともとキレイ好きな動物なので、人間がブラッシングをしなくても自分で毛づくろいをする生き物だといわれています。我が家の猫も、部屋中のいたるところでくつろぎながら毛づくろいしている姿を見かけます。ここで「猫が自分で毛づくろいするなら、ブラッシングする必要はなくない?」という考えもありますよね。ところがそういうわけでもないんです。
たかがブラッシング、されどブラッシングです。さまざまなことに気づくことができるのは、猫をブラッシングして、ゆっくりしているときかもしれません。
猫のブラッシングが大切な理由 1:猫の嘔吐や最悪のケースを防ぐ
猫が自分で毛づくろいをしていると、毛づくろいをしながら無意識に毛が口の中に入ってしまいます。猫にぺろぺろされたことがある方ならわかると思いますが、猫の舌はザラザラしていて、意外と毛を絡ませやすいのです。
体内に飲み込んでしまった毛は体内を循環し、やがてはウンチとなって排泄されるのですが、うまく体内で循環されず、毛が溜まってしまうと体内で毛の塊となってしまい嘔吐をする場合があります。嘔吐して、毛の塊が体内から出てくれるならいいですが、最悪のケースは毛の塊が体内に留まり、嘔吐もできず、ウンチとして排泄すらできなくなった場合です。獣医さんに聞いたところ、開腹手術で塊を取り除くことになるそうです。きちんとブラッシングすれば防げたことを怠って猫のお腹を切らせてしまったら……と思うとゾッとしませんか。
猫のブラッシングが大切な理由 2:猫の体の異変に気づくことができる
ブラッシングすると、猫のからだを触ることになりますよね。そのときに自分の目で猫のからだ全体をしっかり目視しましょう。毎日続けていれば、猫の体の異変に気づきます。我が家で実際にあったケースですが“目の周りが赤くなっている気がする……”と、猫の異変に気づきすぐに病院に連れていくことができました。結果は結膜炎でしたが、さいわい早期発見だったため、治療も治りが早かったです。友人の猫は、ブラッシング中に小さなシコリを発見したそうです。すぐに病院に行き、シコリを取り除いたところ良性で事なきを得たそうですが、こんなことも毎日ブラッシングをするからこそ気づけたことかもしれません。
猫のブラッシングが大切な理由 3:猫との大切なコミュニケーション
猫がどこまで人間の言葉を理解しているのかは謎ですが、ブラッシングを行うときは、猫に話しかけながら行うようにしています。「かわいいね」「今日こんなことがあってね……」など、話しかけるネタは毎日さまざまですが、これも猫との大切なコミュニケーションの時間。そう思ってブラッシングをすると、この時間ですらとても貴重な時間のように思えますよ〜。ときどき、人間の話を聞いてくれているのか、たまたまなのか、猫がグルグルと喉を鳴らしてくれる時間はたまらない至福の時間です(笑)。
猫のブラッシングは難しい? 我が家のリアルなブラッシング事情と対策
猫にとってブラッシングが大切なことはわかっているんですが、よく「猫がブラッシングを嫌がる」という声も周りでよく聞きます。我が家では、いったい、どうなのでしょうか。その答えはこちらです……。
正直にいうと、我が家の猫もブラッシングは苦手な部類に入るようで、なかなか苦戦しています。一緒に暮らし始めた当初は、あまりに嫌がるので心配になりました。調べてみるとSNSでは似たような悩みを持つ飼い主さんも多いようです。ブラッシングの好き嫌いは、猫の性格によっても大きく変わるところもありそうです。とはいえ、我が家の猫は長毛猫。ブラッシングをしないと、気がつくとあちこちに体に大きな毛玉ができてしまいます。毛が詰まって嘔吐することもあるので、「猫の性格だから」と諦めるわけにもいきません。
とはいえ当時は真剣に悩んでいて、どうしたらよいのかと頭を悩ませていました。猫が嫌がるから、ブラッシングは1日1回で終わらせないと……という考えに固執してしまい、嫌がる猫に無理やりブラッシングをする場合も。結果的にブラッシングのブラシを見せるだけで逃げ回ってしまったり……。人間の視野が狭くなってしまい、考えが凝り固まっていました。
あるとき、ふと、この思い込みが間違っていることに気づきました。「猫がブラッシングをしたくないタイミングでしていたのかもしれなくないか?」「そもそも、ブラッシングを1日に1回で終わらせないといけない理由ってなんだっけ?」と違う目線から考えてみると、猫の気持ちを考え切れていなかった気がしたのです。
そのことに気づき生まれた合言葉は「小さなことからコツコツと」。ブラッシングを「1日10回(目安)」にすることに。ブラッシングをするタイミングはさまざまです。
【起床】サッ、サッ → 何事もなかったかのように過ごす
【ご飯中】サッ、サッ → 何事もなかったかのように過ごす
【パトロール中】サッ、サッ → 何事もなかったかのように過ごす
【まったり中】サッ、サッ → 何事もなかったかのように過ごす
【寝そうな時】サッ、サッ → 何事もなかったかのように過ごす
こんな感じで、できるタイミングでコツコツとでブラッシングと向き合っています。成果はタイミングによってマチマチですが、機嫌がいいときはからだをリラックスさせたり、猫が自ら体勢を変えて反対向きになってくれるときもあります。もちろん、ブラッシングの気分じゃないときもあるようで、始めた瞬間に逃げられることもあります。そんなときは深追いしません。諦めずに気長に、猫の気持ちとタイミングに向き合うことが大切なのだなと改めて実感します。
じっくりブラッシングをしたいときは、猫の大好きな「CIAOチュール」をあげながら、人間総動員でブラッシングをすることもあります。ただ、まずは猫の気分が第一なので、気分じゃなさそうなときは、日を改めます。
猫のブラッシングで困っている猫飼いのみなさんに、少しでもお役に立てれば嬉しいです。これからも一緒に、素敵な猫生活を過ごしていきましょう。